いま

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      入り込むべき胴体を失った手足はしかたなく分散を始めた

      限りなく裁断されて砂粒に紛れてゆく

      大切な思い出も流砂に消えて

      なに 案ずることはない

      もといた場所に戻るだけだ

      真っ黒な夜の産物もこうして小さく切り刻んでみれば

      ほら 万華鏡の中の偽物の星のようにかりそめのひかりを反射して

      まるで火山の淵に行進してゆく病身のけもののような笑みをもらしている

 

      浮遊してゆく破片のしたり顔

      戦争について

      平和について

      人生について

      悦び悲しみ憎しみ

      etc.

      くりごとがやけのっぱらに充満し

      幻影に浸りきってご満悦

       

      静粛に!静粛に!

      さわめきを蹴り散らし 

      別の声

      死刑は明日執行だ

      被告人たちよ 

      なにも要求してはならない

      なにも望んではならない

      こでは絶望することも禁じられている

      それに

      申し開きする必要などなにもないだろう?

      すべてみずから望んだ事なのだから

 

       地ならしの結末がすべての言葉をさらってゆく

      恐怖の中の無関心が棲みつく場所に

      ねめつく視線のこして

      真紅の坩堝のなか

 

      夜のなかの夜

      いまが沸騰し 堕ちてゆく

      限りなく

      うちがわの火薬庫に燠火を宿したまま

 

 

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