ヨルノケモノ・帰還

匂い聞きつけ いま 返って来たよ かりそめの 肉の骨身を晒しだし 肉屋の店先垂れ下がる 真っ暗闇の仮説から 半身ずいとせり出して 膨らんでゆく むず痒い香り 破裂して這い出す小さな気配 ぞわぞわ広がる匂いの向こう なにかの塊りであたりはいっぱい 見渡せ…

地の腑

夏のひび割れ光が溜まる 腫れ上がって這い上がる 不具のいのちを引きずり出して 祈りのかたちは地に蔓延り 血からみなぎりぎぎぎと啼くから カラカラかぜふくぜぜぜぜ音 おんおん終わらず終わらせられず 翻ってはくよくよぐるるるるる 淵を溶かして染みわた…

Sacrifice

闇 息をひそめてひそひそそ 生臭い肌理をすりよせて 紅色チロチロ舌なめずり しだいしだいに寄り隗まって いつしかいのちのほのおが灯る ほのおははしる 真昼の空を夢見て ぞくぞくぞくぞくふきだす火勢 いつしかかたち成し それはちいさなお祭り さかさまに…

謝肉祭の夜

一番目に招かれた客は花束をたずさえやってきた 凍結された怨嗟を溶かして酒宴をひらく 怒りの花で蒸留された酒は奔流となり 街を呑み干し宴もたけなわ 二番目に招かれた客は実りをもたらした 水浸しの街に不具の命が満ち満ちる こどもたちは爛れた脂肪を火…

Ecco

ホーイホイホイ こだまして 誰かの観た夢のよう 鳴り響く 街の灯が混じり合い 足元ゆれる 道路もガラスもいっせいに 聞き耳たてて立ち尽くす それはきっと正しい選択 消え入る一瞬 しめやかな大にぎわい 最後の命の炎のカタチ 対案はなかった ありがとう と…

ゆりかごゆらす

たたたんたたたんたたんたた ねたこおこすな しみとおる そまって さわる いたいいたい 誰にも知られず 雨粒踊りゃ かえるにあめんぼひきつれて 鼓笛隊のお出ましだ さわぎききつけ 水底の帳開くよ久方の 遺訓万年閉じこめて 忘れ去られた古井戸だ 水面に合…

うつら

純粋な ぽかん なつやみうかぶ 風にふかれ 首 かしげ 水はゆっくりひろがって ゆめみるように大気のなか ゆらゆらゆらゆらかげろうに 草木はしずかにおいしげり きらめきながら腐りゆく 喜怒哀楽はその継手 星 海 大地もみなおなじ くるりんふりむき首のさき…

Fragile

恥ずべき花 踏み潰す 体液がこびり付く 純粋な黒 穢す ただただ虚けて白く 腐臭放ち 闇の鼓動も 溢れ出るはずだった光も すべて無に帰し 手にかけたのはお前 此の世はこわれもの

月光蟲(夏至)

うみとりくのあわいから うぶごえあげるヴァイオリン みかづきこしかけものういかお ときのたにまでいんえいかなで さざめきさびてさびしげに よぞらしんしんひびかせて つきのかたちのくずれゆく つちのかすみのおりののべ ながれてひえてかたまって ぐるぐ…

ありもしない

佇む 密閉されてうずたかく 幾千万もの夢の外 ひっそりしんと息ひそめ 重たいからだ生ぬるく 倦怠ぞくぞく群がる集る とりかえしのつかない予兆 ほうほうと逃げ去る気配 広がる錆びる見知らぬ記憶 泡の穴から流れ出て ねばねばむらむらじっとりと 埃っぽい外…

ロロロロロンドロロロロロ

成り成る成れる成り成らず 鳴りとて止まぬ生りぬりぬれば おテテつないで輪になリリリて カゲヲ集めてウタカタおどれ リリリリロロロルロリリリリリ 詩を謳えば謡い生る 実らぬ堪忍閑古鳥 イズルズルイズイルルルルルルル 明けやらずの願いの谷間 累積されて…

Another Babel

凪の夜 月影の下 海上を照らし寄り来るものあり シズシズシズ ザワザワザワ ザブザブザブ 物憂い顔の月の塔 波打ち際で ヨッコラショ 休憩中に独り言つ ヤレヤレどうやら寝過ごした 静かな海底スーヤスヤ あっというまに幾千年 使役していた奴隷ども スッカ…

橋を渡ってやって来る 降りしきる雨 お調べに 静々と 深々と 然々と 朝明け時に残された夜 溶かされ白む 寸前 恨み言ひとつ 泡となり 花がいま 面 外した 時が始まる くるりくるくる歓声あげて みなも舞台に踊れや謡え すべては舞いの輪のなかへ 声高な昼の…

行方

海が来る 瞬く境界 裏の表の舌が夜 狭間を穿つ 蔓延るうねる 痕跡裏向き逆立ちて 契る千切れる空しと喚く 裏がえ摩れる 煉獄苦界 悔悟の極楽繰り語の誤解 後生大事に占め自滅つなぐ 向きなく終わらず 続いて続く 残さず従い風抜けて 砂塵に刻む永遠の殻 とど…

No way street

視線はらはら降り積もる 仕留めた弛緩をしたためて しめやかな干満を 音たて ゆれる 焚き上げる 石棺の借景 人に仕えたモノたちは無駄骨 ほぅ と 小さく息をつく ヒソヒソヒソヒソ 人の影だけ ヒタヒタヒタ 閉じるスッカラカン 月影 黒く焦げる 開かずの夜の…

Festa

カラッポ 踊る 梅雨闇のなか くるくるくるくる 花の形で固まって くずれる花影 吐息を漏らす すぅ と 波紋 走る 鬨の声上げ 次のエモノ探し 時分の花はささげもの 虫の音遠く 痩せた午後

われ冥き淵より

栄枯のはざまより 暫し 眺む。 ひとのこは なぜなにか してしまうのだろう 今度こそはと。 すべて報われると。 なにか変ると。 そう 信じて。 たとえ 無駄だとわかっていても たとえ それが禍の源だとしても なにか 成そうとする事を止められない ならば 成…

残花一輪

夜空に濡れて ひとり。 星はもう あらかた落ちてしまった 夜よりも黒い黒 水面を満たす 呑み込んでゆく ごうごうと ごくごくと 残された 最後の星 幽き肩に 屹立する 仲間はすでに絶え 紫の炎 くねらせ 託された光の種宿す 生き残った花は夢見る 他愛もない…

鼓動

かげろう うろつき ゆららゆら ゆららうろうろ うつらうら 風つきぬけてなぶられて 破れた心臓 ふきだす血煙 怒気 虫のかたちでたちのぼる どくどくどくどくどくどくどく ながれだす時間 透明なそらに心音 ひとりおどる 燃やし尽くして手を振って 灯ることば…

祝祭の日

空 燃え落ち 地平 燠火かがやく 花 舞い 肉塊 風になる 散る 熱陽炎のあわいから 羽音の行方耳にして 夕闇のなか 来る。 天地の間 全てのものは捧げもの 星々は落ちる 瞬くあいだに そのまえに (逃げろ)

河骨

形あるものの向こう側 葉脈の淡い隙間から 夏の鎌首 持ち上がる 朽ちゆく花を頬張って 水底の星 まます深く 滴る 打ち壊す 生い茂ってゆく 時の貪欲 呼応する水面 粒立ち さわめく 多くの陰影 骨身を晒し やがて次の花灯す 粘りつく闇が息を吐く 午後の光の…

うねうねうねうねう うつつだし うつろうくうのねくいちらかす ひょうりひょうひょうこだまして ずりずりずりずりりかけまわる ぶるりぶるぶるいるいるいるる おそれおののくるりのいろ 時が連なり 硬化する 僅かな起伏 繰り返し 軸が傾き 反り返る 外皮めり…

化石の森

すべてが終わった凪の朝 いきものの骨の粉でできた街 水のさだめに寄り添って 姿脱ぎ捨て解れゆく 水陽炎 ゆらめいて 薄明り 奈落を満たす 山はもう 歌うこともない いさかいの星座 波にきらめき眠りつく あぶくのはじける子守唄 大きな円を描く 銀をこうこ…

Another Noah

ただ 風は立ち いのち震える 水面に咲く ただ 風が止む 煌めきが朽ち 微笑残し さだめ たゆたう ただ ただ ただ 腐りゆく瞳は見上げる ただ 静寂を 半透明の帳の中 水底から夢を見る いつまでも いつまでも ただ ただ ただ ただ 幾度となく繰り返される 水の…

Out of the Blue

炸裂する宙の蕾 星の墓標を抉じ開けて 花弁飛び散る 夜空を満たし 星座の増殖 もう一度 紅 埋め尽くす 凍てついた 過去 現在 未来さえ 新月を起点に 地上の花をも呼応して 天地の間 降り注ぐ葉脈の旋律 稲妻穿つ 誘い出された水脈の疾走 垂直に立ち昇る 光の…

虚焦点

佇む いつも 側にいる みな 気づいている 気配を みな 気にしない 意味を みな 疎んでいる 存在を みな 忌み嫌う それを 迂回して生まれる 渦 世界が回りだす いつか 颯となって去ってゆく その時まで ひっそりと イジイジと コソコソと 何も愛さず ただ 此…

plant

月影の下 青白く微光する 量産品のいのち 敷き詰められて横たわる 工場規格の大気 地表を覆う 惨劇の残響 痛み 柔らかい喉笛から汁液したたる 数多くの細胞 夢見て溶けゆく 真昼の空を 浸み込んでゆく 迷路の中を 還ってゆけるのだろうか 陽の輪転に 受け止…

書くにあたってのレシピというか備忘録的ななんちゃら

★以下、ホントに個人的なコトしか書いていません。 何も面白いコト書いてませんし、興味のない方には退屈なだけですし、第一、意味わかりません。 なのでスルーしてくださいね。 年明けから約三か月、詩、と言うと少々憚れるモノを40本ほど書きました。 で、…

サガ

目の内側から這い出した 形のない影 外気に向かって触手を延ばす 肉 取り戻そうと 激しくなる内部の混乱 解き放とうと いつ果てるともなく 黒い濁流 かろうじて皮膚だけ生きている 耐えられない 空の芯から染み出す悪臭 陰気な鋭さ渦を巻き 黒く固まってゆく…

努々鬱々

ザラザラザラ 宙も消え 半透明の眠りの中 蠢きだす ゼリー状の繭 破る ぞ そろそろそろずずずりり 泡の孔から這い出す街 陰気な賑わい讃えながら 死んだ瞳が見つめてる その彼方には貴方には 懐かしい明日 輝かしく 煌々と響き渡るガラス器の破片 省略された…